ご挨拶



東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科二年
村上 史郎



今年度の奏楽堂企画は「怪談〜前衛音楽が語る怪奇な物語」と題し、
芸大奏楽堂を舞台に大きな藝術作品を発表致します。どうぞお楽しみに!

さて、私がこの企画の中で何をしようとしているのか。
それは「愛」についての物語です。

とにかく壮大で、正直まだ未成年の私にはとても相手にできない相手であること
承知しております。ただ、「愛」は今一番の個人的関心事項であり、
また今の時代にこそ真剣に向き合わねばならない概念なのだとも感じています。
本企画では特に「女の愛」にスポットを当てます。

愛に生きる女の物語。藝術と愛の出会い。
それが今回の奏楽堂企画の核なのでございます。

藝大には多種多様な芸術家がいます。それぞれがそれぞれに思考し、考えを持ち、
作品を創っています。また伝統と前衛の藝を極め、日々精進しています。
そんな多くの表現者たちを奏楽堂に集めて、音楽家も美術家もダンサーも
全員が誠心誠意「自分の作品」を持ち寄りぶつけ合う。
そんな「前衛芸術のお祭り」と言える様なコンサートを作りたい
というのもまた奏楽堂でやろうとしていることのひとつです。

小泉八雲。志賀直哉。折口信夫。私はこの共通性の無さそうな
三人の文藝家の作品群から三つの文学作品を選びとりました。
見いだされた三作品を貫く共通性の糸を中心に、音楽が美術が身体表現が。
その愛を藝術表現に、そして官能表現としてお届けして参ります。

今春、音楽と身体表現が日本文学と出会う。
体験してから読むか、読んでから体験するか。
文学は観念を越え官能へ!音楽と身体で語る日本文学の世界へようこそ







「奏楽堂企画学内公募」とは



音楽学部・美術学部の枠を超えて「芸大で学ぶすべての学生を
対象に、奏楽堂で上演することを前提とした企画を募集」する
コンペティションで、二〇〇五年にスタート。
毎年、通常のコンサートとは異なるユニークな企画で好評を得ている。


主催     東京藝術大学 演奏藝術センター
       東京藝術大学 音楽学部
協賛     THE ROLEX INSTITUTE
       スタンウェイジャパン株式会社